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「名山町」が人気! 昭和の風景が残る”古くて、新しい”まち 若者も訪れる人気の秘密とは? 鹿児島市

2025年1月21日(火) 18:18

特集「今、鹿児島でー」。1月21日は鹿児島市の名山町にスポットをあてます。木造の長屋が立ち並ぶレトロな風景がここ最近人気を集めていますよね。そんな注目の街に生まれている“変化”とは、そして街のもつ魅力を取材しました。

イルミネーションがきらめく公園の路地に、まるで昭和の風景が残る懐かしい一帯があります。鹿児島市名山町の通称・名山堀です。木造の長屋に、昔ながらの看板。のれんに次々と仕事終わりのサラリーマンたちが吸い込まれていきます。居酒屋とくちゃん。今年で40年目、常連客が足繁く通っています。

常連客
「雰囲気がいい。情緒がよくて。初めて入ってこの雰囲気に魅せられて」
「昔ここは栄えていた。県庁や市役所も全部集まっていて。”鹿児島の飲みの原点”じゃないかな」

店主の徳田浩子さんは84歳。

徳田浩子さん
「居心地いいからね。いいからやれてる」

居心地のいい空気に包まれて、時代は変わっても昔のまま残り続ける店です。これは、1991年の名山の映像。当時はここに人々の“暮らし”が息づいていました。魚屋に、八百屋。行き交う住人たちー。しかしその後長屋に住む人は減っていき、昭和のたたずまいだけが取り残されたかのようにみえますが、実はこの場所が今、“再生”の時を迎えています。昼間、あちこちに見かけるのは、若者の姿です。

カップル
「昔の街並みだなと思って。背景がいいなと思って(写真を)撮り合ってた」

お目当ては、ランチやカフェ。

女性2人組
「インスタグラムに出てきて、行っちゃう?みたいな。こっち行ってからこっち行こうかな?はしごします」

ここ数年だけでも実に20軒以上の店が、名山に新たに誕生しているんです。そのうちの1つ、リサ コーヒー スタンド。約1年前にオープンしました。コーヒーとスイーツを手がける店主、荒木里彩さんは25歳。初めて構えた自分の店です。

荒木里彩さん
「まずは小さく1人でできるようなお店を持ちたいと考えていた」

初めてだからこそ、“チャレンジの場”としてこぢんまりとした店が多く立ち並ぶ、名山を選びました。

荒木里彩さん
「名山っていっぱいお店が集まっているので、近くのお店の先輩方も気にかけてくれて、色んなことを教えてくれて、名山だったから私ものびのびやれているのかな」

飲食店だけではありません。この店は海外から取り揃えた古着が多く並ぶセレクトショップです。

ディスコテックヴィンテージ 下田代絵美さん
「(名山は)古い建物と新しいものといい感じに混ざっていることにに魅力を感じて。お客さんと近い距離で話ができて雰囲気を考えた時に狭い方がいいかなと考えて」

小さいけれど、その分、こだわりがぎゅっと詰まったお店。

名山は自由で個性的な店が次々と生まれる鹿児島の“新しい街”として注目されています。そんな魅力に惹かれ、人生をまるごとこの街に投じた、門間ゆきのさんです。県外から就職活動で鹿児島にやってきて、ぶらりと立ち寄った名山にのめりこみました。

門間ゆきのさん
「夜の飲み屋街の雰囲気に惹かれて住み始めた」

入社した会社を辞め、地域の子供たちと4年前から月に一度、「名山新聞」を発行しています。そんな門間さんが語る、名山の魅力とはー

名山新聞 編集長・門間ゆきのさん
「一昔前の懐かしい雰囲気が残っている中に、新しい方がどんどんお店をオープンしているので、常に新しい風が吹いている。色んな人が個性の花を開くような、多様性が名山町の良さ」

門間さん自身も名山に新たな風を吹かすべく。長屋を借りて改修工事を行っているんです。

門間ゆきのさん
「『めいざんち』という名前で、友達の家やおばあちゃんちに行くような感じで親しんでもらえればと思って」

街の案内所でもあり歴史を知る博物館でもあり、なおかつ名山新聞の編集室…子供から大人までみんなが集える場所を目指しています。

門間ゆきのさん
「お店をする側だけじゃなくて名山町を歩く人、楽しむ人も多様になっていったら。どんどん多様性が広がって。だけど、今の街並みや人と人との温かいつながりみたいな良さは残っていくといい」

昔と今と、どちらの良さも包み込む、懐の広い街・名山。昭和のはじまりからちょうど100年を迎える2025年、名山は“古き良き、そして新しい”街へと再生しています。

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