１１月２３日は「１１２３（いいふみ）の日」。メールなどが普及し、手紙離れが進む中、様々な困難を乗り越え、絵手紙を書き続けている女性がいた。手紙のやりとりの中で気付いた大切なこと、一人の女性を通して、改めて手紙の魅力に迫りました。

再発見！手紙の魅力

【絵手紙教室】
鹿児島市の鴨池公民館で、月に２回開催されている絵手紙教室「土筆会」６０代～８０代の主婦を中心に、およそ２０人が参加しています。熱心に指導をするのは、絵手紙歴１２年の講師杉山妙子さん５５歳です。メールなどでは表現できない手描きの温かみや、相手を思う気持ちを大切にしてほしいと伝えています。

　
【絵手紙のお出迎え】
杉山さんのお宅にお邪魔しました。家に入りまず目に飛び込んできたのは、「カラフルな絵手紙」。そこには、杉山さんの何気ない日常が描かれていました。今まで４０００枚を超える絵手紙を書いてきたという杉山さん。実は書き始めたきっかけは人生を変える、ある出来事でした。１３年前、交通事故にあい、手にひどいしびれを感じるようになりました。もう社会と関われなくなるのでは？不安や孤独を感じたといいます。気持ちが滅入り、前向きになれず、家にひきこもりがちに。そんなときに出会ったのが、「絵手紙」でした。絵手紙に気持ちを綴っていくと、不思議とこれまでの不安がなくなっていきました。絵手紙が、生きる希望を与えてくれたのです。

　
【心と心を繋ぐ絵手紙】
県外で入院する母親に元気になってほしい！そんな思いで１年間絵手紙を送り続けました。退院した母親からは、こんな返事が寄せられました。「お世話になった１年でした。これからもよろしくね。お願いします。」まちにまった母からの返事。杉山さんは、嬉しさのあまり、母の絵手紙をはがきの中に描き、すぐに返事を出しました。手紙が心と心を繋いでくれました。

　
【それから３年後】
杉山さんは重いリウマチを発症し、手足がほとんど動かなくなりました。そんな時に救ってくれたのも、やっぱり「絵手紙」でした。入院中、毎日のように知人や、恩師から届くはげましの絵手紙。大きなパワーになったと言います。その後の杉山さんが書く絵手紙からは、病気に負けてたまるか！そんな強い気持ちが読み取れます。

　
【下手でも良い】
「絵手紙は薬みたいなものですよね。処方してくれる薬よりも効くのかもしれない。肉筆の温かみがあり、その人が書いたクセであったり、思いであったり、直筆でこそ伝わるものがあると思いますよね。それをもらうから嬉しいんですよね。」人と人、心と心を繋ぐ、その人にしか書けないたった１枚の手紙。私たちに大切なことを教えてくれました。杉山さんは、これからも書き続けます。