物価高騰の波 分譲マンションにも 修繕積立金をめぐるマンション事情とは 鹿児島県
2025年4月22日(火) 18:35
桜島をのぞむマンション群。
県内には、4月時点で鹿児島市を中心に551棟の分譲マンションが建っています。
年代別でみると、2000年~2009年に建設されたものが最も多く157棟、そして、1990年代より前に建てられたマンションは278棟と、全体の半数を超えています。
これら分譲マンションで今、大きな課題となっているのが修繕積立金です。
マンションの所有者の相談窓口となっている県のNPO法人には、こんな相談が多く寄せられているといいます。
県マンション管理組合連合会・木浦学理事長
「将来のことを考えたら今の金額だと赤字。『修繕積立金の値上げをしたい』と相談がある。それに対して『値上げしすぎだ』という相談もある」
修繕積立金とは10年から20年に1回の大規模修繕工事のために、マンションの所有者がプールするお金です。
新築を購入した場合、購入費用とは別に毎月納める必要があり、販売する業者が金額を設定し、その後は所有者が運営する管理組合で見直していくのが一般的です。
実は昨今の建設費の高騰で、この積立金の引き上げに迫られるマンションが増えているのです。
若松正大記者
「鹿児島中央駅東口にあります、こちらのマンション。今月から修繕積立金を大幅に引き上げました」
築15年目で88世帯が住むこちらのマンション。
3月の総会の議決を経て、4月から修繕積立金は1平方メートルあたり126円から230円に引き上げられました。
1.8倍を超える増額です。
例えば、1室80平方メートル程度の場合、1万円が1万8000円に値上がりする計算です。
マンションの所有者で役員の四元さんは、約3年前から準備を進めてきたそうです。
アエールタワー住宅部会・四元洋一部会長
「(事前の説明後の)アンケート調査で、一番近くで上げてくれと。今月から(修繕積立金が)上がることが先月決まった。どうやってまとめ上げるか大変だったが、途中で反対意見があったことが逆に励みになった」
インテリア業を営んでいた四元さんは、2級建築士の資格を持ち、専門的な知識が豊富です。
今後ほとんどのマンションが大規模修繕で借金に迫られる状況がくると予想します。
四元部会長
「(計画では)物価上昇率は加味されていなかった。15年間で1.5倍になっている。それがほとんどのマンションが大規模修繕によって借金しないといけない一因」
鹿児島市内のあるマンションの理事会が取材に応じました。
2024年に完了した大規模修繕工事では積立金が足りず、金融機関に不足分を借り入れた経緯があります。
この日は管理会社から理事会のメンバーにある報告がありました。
管理会社の担当者
「認定制度の認定通知書が鹿児島市から届いた」
先行きの見えない修繕費の上昇に理事会がとった対策が、鹿児島市の管理計画認定制度への申請でした。
この制度は「マンションの管理計画が適正に運営されている」と、行政が「お墨付き」を与えるもので、所有者には売買時の市場価値の向上や融資金利の引き下げ、固定資産税の減額といったメリットがあります。
修繕積立金が低すぎないことや修繕計画を7年以内に見直すこと、総会を定期的に開催していることなど、一定の基準をクリアしたマンションが認定をうけることできます。
認定を受けた管理組合の理事
「できるだけ住民の方に負担や借り入れが少ない形でできる条件が整った。非常に良かった」
「少しでも効率よく負担が軽減できるシステムがあれば、取り組むべき。理解は得られた」
管理会社の担当者
「やっておいた方が良いと一生懸命説明させてもらった」
鹿児島市では2年前に制度が始まりましたが、認定を受けたマンションは現時点でわずか5件にとどまっています。
鹿児島市建設指導課・坂之上修一課長
「(2年間で認定5件は)決して多いとは思っていない。これからだと考えている」
鹿児島市では、この認定制度を普及させるため相談窓口を設けているほか、専門家の派遣も行っています。
坂之上課長
「今後、どんどん普及していかないといけない。相談窓口、アドバイザー派遣で管理組合をバックアップして対応したい」
物価高騰で修繕積立金という大きな課題と直面する分譲マンション。
県のNPO法人では、その現状を次のように指摘します。
木浦理事長
「『自分たちの資産だから自分たちで話し合って下さい』とほぼ放任主義で進んできた。修繕積立金が高いか安いかしか話さず、長期的な計画がなかった。そんなマンションが多い」
マンションの経年劣化は避けて通ることができません。
自分の資産を守るための大規模な修繕についてどう考えるのか?
所有者一人一人に今、意識改革が求められているといえそうです。
県内には、4月時点で鹿児島市を中心に551棟の分譲マンションが建っています。
年代別でみると、2000年~2009年に建設されたものが最も多く157棟、そして、1990年代より前に建てられたマンションは278棟と、全体の半数を超えています。
これら分譲マンションで今、大きな課題となっているのが修繕積立金です。
マンションの所有者の相談窓口となっている県のNPO法人には、こんな相談が多く寄せられているといいます。
県マンション管理組合連合会・木浦学理事長
「将来のことを考えたら今の金額だと赤字。『修繕積立金の値上げをしたい』と相談がある。それに対して『値上げしすぎだ』という相談もある」
修繕積立金とは10年から20年に1回の大規模修繕工事のために、マンションの所有者がプールするお金です。
新築を購入した場合、購入費用とは別に毎月納める必要があり、販売する業者が金額を設定し、その後は所有者が運営する管理組合で見直していくのが一般的です。
実は昨今の建設費の高騰で、この積立金の引き上げに迫られるマンションが増えているのです。
若松正大記者
「鹿児島中央駅東口にあります、こちらのマンション。今月から修繕積立金を大幅に引き上げました」
築15年目で88世帯が住むこちらのマンション。
3月の総会の議決を経て、4月から修繕積立金は1平方メートルあたり126円から230円に引き上げられました。
1.8倍を超える増額です。
例えば、1室80平方メートル程度の場合、1万円が1万8000円に値上がりする計算です。
マンションの所有者で役員の四元さんは、約3年前から準備を進めてきたそうです。
アエールタワー住宅部会・四元洋一部会長
「(事前の説明後の)アンケート調査で、一番近くで上げてくれと。今月から(修繕積立金が)上がることが先月決まった。どうやってまとめ上げるか大変だったが、途中で反対意見があったことが逆に励みになった」
インテリア業を営んでいた四元さんは、2級建築士の資格を持ち、専門的な知識が豊富です。
今後ほとんどのマンションが大規模修繕で借金に迫られる状況がくると予想します。
四元部会長
「(計画では)物価上昇率は加味されていなかった。15年間で1.5倍になっている。それがほとんどのマンションが大規模修繕によって借金しないといけない一因」
鹿児島市内のあるマンションの理事会が取材に応じました。
2024年に完了した大規模修繕工事では積立金が足りず、金融機関に不足分を借り入れた経緯があります。
この日は管理会社から理事会のメンバーにある報告がありました。
管理会社の担当者
「認定制度の認定通知書が鹿児島市から届いた」
先行きの見えない修繕費の上昇に理事会がとった対策が、鹿児島市の管理計画認定制度への申請でした。
この制度は「マンションの管理計画が適正に運営されている」と、行政が「お墨付き」を与えるもので、所有者には売買時の市場価値の向上や融資金利の引き下げ、固定資産税の減額といったメリットがあります。
修繕積立金が低すぎないことや修繕計画を7年以内に見直すこと、総会を定期的に開催していることなど、一定の基準をクリアしたマンションが認定をうけることできます。
認定を受けた管理組合の理事
「できるだけ住民の方に負担や借り入れが少ない形でできる条件が整った。非常に良かった」
「少しでも効率よく負担が軽減できるシステムがあれば、取り組むべき。理解は得られた」
管理会社の担当者
「やっておいた方が良いと一生懸命説明させてもらった」
鹿児島市では2年前に制度が始まりましたが、認定を受けたマンションは現時点でわずか5件にとどまっています。
鹿児島市建設指導課・坂之上修一課長
「(2年間で認定5件は)決して多いとは思っていない。これからだと考えている」
鹿児島市では、この認定制度を普及させるため相談窓口を設けているほか、専門家の派遣も行っています。
坂之上課長
「今後、どんどん普及していかないといけない。相談窓口、アドバイザー派遣で管理組合をバックアップして対応したい」
物価高騰で修繕積立金という大きな課題と直面する分譲マンション。
県のNPO法人では、その現状を次のように指摘します。
木浦理事長
「『自分たちの資産だから自分たちで話し合って下さい』とほぼ放任主義で進んできた。修繕積立金が高いか安いかしか話さず、長期的な計画がなかった。そんなマンションが多い」
マンションの経年劣化は避けて通ることができません。
自分の資産を守るための大規模な修繕についてどう考えるのか?
所有者一人一人に今、意識改革が求められているといえそうです。