老老介護の現場で起きる「介護疲れ」 負担を軽減する公的サービスと地域活動
2025年11月8日(土) 07:00

介護疲れにどう対処するか
高齢者が高齢者を介護する「老老介護」。日本の高齢化社会が進む中、鹿児島県内でも不安を抱きながら日々介護する人や、地域での互助活動に取り組む団体もある。
一日中続く介護の現実

昼すぎから夕方までは訪問看護を活用している
鹿児島市に住む80歳の夫と86歳の妻の家庭。夫が妻の介護を一人で担っている。妻は2年前、手のこわばりや姿勢を保つことが難しくなる難病と診断され、要介護5に認定された。当初は施設に通院していたが、本人の希望で2024年から在宅介護に切り替えた。
食事は夫が担当し、妻が食べやすいよう柔らかい食材を使い、一口大にした料理を時間をかけて食べさせている。夫は介護を始めた当初の心境を「最初はずっと、介護をさせられている、命令されてしているような気持ちになっていた」と振り返る。
昼すぎから夕方までは訪問看護を活用。夫はこの時間を買い物や友人との交流にあてる。「オンオフが少しはできた方がいい。そうしないと自分が縛り付けられているようになってしまう」と語る夫だが、「(介護は)終わりが分かってないから。ここまですれば終わりということもない」と介護の長期化に対する不安も抱えている。
しかし、最近では「素直に見られるようになったらいいな。顔を向けられたら一番いいんじゃないかな。最近愛おしくなりました」と心境の変化も見られる。
深刻化する高齢化と「老老介護」

介護疲れは社会問題となっている
鹿児島県の高齢化率は32.5%と全国平均(28.8%)を上回り、南大隅町や錦江町では40%を超える。高齢化率の上昇に伴い、「老老介護」の世帯も増加している。
体力の低下などで介護する側に大きな負担がかかる中、鹿児島県内では悲劇も発生している。2024年8月、阿久根市で77歳の夫が認知症の75歳の妻を介護疲れで殺害する事件が起きた。実刑判決を受けた夫は裁判で自分も死ぬつもりだったとを明かした。
鹿児島大学医学部の池田由里子助教は「更なる負担につながらないように手を差し伸べる、もしくは差し伸べたいと思うようなコミュニティー作りが大事」と指摘する。
















































































































