夜間中学「県立いろは中学校」開校 鹿児島で始まった学び直しの現場と多世代の挑戦
2026年5月28日(木) 13:45
皆さんは「夜間中学」をご存じでしょうか。
様々な理由で義務教育を修了できなかった人などを対象にした学校で、2025年に県内で初めて開校しました。
学びの機会を求めて通う生徒たち。
そして、試行錯誤を続ける学校。
「学び直しの場」の今を河内アナウンサーが取材しました。
鹿児島市に2025年開校した県立いろは中学校。
2025年3月の修了式では、生徒が夜間中学で過ごした最初の1年間を振り返りました。
県立いろは中学校 生徒代表・東千冬さん
「いろは中学校に入学しようと勇気を出した1年半前の自分を褒めてあげたいです。なぜなら、ここにいる全ての皆さんと出会えて、一緒の時間を過ごせたことが何よりの宝になったからです」
義務教育を修了できなかった人や、十分に学べなかった人たちが通う夜間中学。
学び直しのニーズに対応するため各地で整備が進み、2026年度も栃木や大分など7校が新たに開校し、全国に69校あります。
2年目を迎えたいろは中学校では現在、国籍も様々な10代から80代の生徒、29人が学んでいます。
授業は月曜日から金曜日の週5日、午後5時半ごろから午後9時まで、科目は通常の中学校と同じです。
「こんにちは」
鹿児島市の西村美出子さん、72歳。
2025年、いろは中学校に入学した2年生です。
友人関係の悩みや引っ越しによる環境変化などが重なり、14歳の頃から学校に行けなくなりました。
県立いろは中学校 2年・西村美出子さん
「勉強に取りかかる精神状況じゃない。黙々と自分の苦しみの中にいる。やっぱり学校に行きたい、行きたいけど行けない」
その後、様々な仕事を経験しましたが、学びが足りないことが原因で傷つくこともあったそうです。
「(職場で)『あなたは覚えが悪い』とか。『できないんだったら人の10倍も20倍も努力しなさい』とか(言われた)」
そんな中、夜間中学の開校を知り西村さんは「学び直す」決意をしました。
学校が始まるのは夕方ですが、西村さんはその前に地域の清掃や配達の仕事、町内会の活動などをこなしています。
自宅近くで育てる花の手入れも日課の一つ。
育てた花はほぼ毎日、学校に持って行くそうです。
西村さん
「私が一番心を病んだ時、一輪の花に助けてもらった。自分の人生の中で花がいつも支えてくれた。だからみんなもそう感じてもらえたらいいなと思って(学校に持っていっている)」
朝から大忙しの西村さん、それから片道2時間以上かけ学校に通っています。
バスや電車を乗り継ぎ、登下校も一苦労、かと思いきやその足取りは軽やか。
なんと、今のところ皆勤賞です。
Q.きょうは何が楽しみ??
「どんなことがあるんだろう、(学校の)みんなやクラスメイトに会えたり、やっぱり英語があるといいな」
その頃、学校では先生たちが授業の準備を進めていました。
県立いろは中学校 数学担当・秋元千賀子さん
「難易度や問題の数を変えて、『きょうはできた、わかった』と思ってもらえたらなと(授業の)準備をしている」
経験豊富な中堅やベテランの教職員が多く配置され、学び直しの場での教育を模索しています。
午後4時半ごろ、登校した西村さん。
この日、持ってきた花はアヤメです。
廊下の片隅に飾りました。
西村さん
「これが一番きれいなところかな…」
この日は西村さんが楽しみにしていた英語の授業もありました。
英語の授業
「seafood」
「reservation」
学ぶ喜びを噛みしめながら、真剣に授業に向き合います。
いろは中学校には様々な学校行事も。
生徒の親睦を深めるレクリエーションです。
あの頃は叶わなかった青春の時間。
いろは中学校での様々な学びが、生徒の生きがいにも繋がっているようです。
西村さん
「勉強できることがすごくありがたいし、世界が開けるし、『こういうことがあるんだ』と驚きもあるし、やっと、やっとそういうことに出会えた」
開校から1年、様々な事情を抱える生徒たちにあわせ、学校側も試行錯誤を続けてきました。
例えば2025年10月に導入した「AIドリル」。
間違えたところをAIが学習しオリジナルの復習問題を作る仕組みで、生徒がそれぞれの理解度に合わせて無理なく勉強を続けられます。
「生徒の居場所づくり」という点でも工夫を重ねました。
県立いろは中学校・加藤淳一校長
Q.ここはどういう部屋?
「去年11月に開設した『ほっとステーション』」
教室を改装した「ほっとステーション」は休憩や交流など、生徒たちが自由に利用できます。
加藤校長
「大勢の前にいると疲れたり、ストレスを感じる生徒もいるので、ここに来てホッとしてもらう。開校前はここまで想定していなかったが、生徒と一緒に生活していく中で、新たに気づかされたことも多い」
学び直しの場として軌道に乗り始めた2年目のいろは中学校。
2026年は12人の新入生が仲間入りしました。
県立いろは中学校 新入生代表・西心美さん
「様々な背景を抱えながら、それぞれに志を持ってここに集まっています。みんなで助け合いながら、一歩ずつ進んでいきましょう」
年齢も、国籍も、生い立ちも異なりますが、「学びたい」という思いはみんな同じです。
県立いろは中学校 新入生・坂野菫さん
「将来、白バイ(隊員)になりたくて。中学を卒業する頃には高卒認定の資格を取れるくらいまで勉強を頑張りたい」
県立いろは中学校 新入生・奥屋義隆さん
「どうにかこうにか勉強して、大学は無理かもしれないが、高校には行きたいと思っている」
生徒も、先生も、みんながお互いを理解し合いながら、模索を続けるいろは中学校。
それぞれの目標や、「学びたい」という思いが、きょうも夜の校舎に灯りをともしています。
様々な理由で義務教育を修了できなかった人などを対象にした学校で、2025年に県内で初めて開校しました。
学びの機会を求めて通う生徒たち。
そして、試行錯誤を続ける学校。
「学び直しの場」の今を河内アナウンサーが取材しました。
鹿児島市に2025年開校した県立いろは中学校。
2025年3月の修了式では、生徒が夜間中学で過ごした最初の1年間を振り返りました。
県立いろは中学校 生徒代表・東千冬さん
「いろは中学校に入学しようと勇気を出した1年半前の自分を褒めてあげたいです。なぜなら、ここにいる全ての皆さんと出会えて、一緒の時間を過ごせたことが何よりの宝になったからです」
義務教育を修了できなかった人や、十分に学べなかった人たちが通う夜間中学。
学び直しのニーズに対応するため各地で整備が進み、2026年度も栃木や大分など7校が新たに開校し、全国に69校あります。
2年目を迎えたいろは中学校では現在、国籍も様々な10代から80代の生徒、29人が学んでいます。
授業は月曜日から金曜日の週5日、午後5時半ごろから午後9時まで、科目は通常の中学校と同じです。
「こんにちは」
鹿児島市の西村美出子さん、72歳。
2025年、いろは中学校に入学した2年生です。
友人関係の悩みや引っ越しによる環境変化などが重なり、14歳の頃から学校に行けなくなりました。
県立いろは中学校 2年・西村美出子さん
「勉強に取りかかる精神状況じゃない。黙々と自分の苦しみの中にいる。やっぱり学校に行きたい、行きたいけど行けない」
その後、様々な仕事を経験しましたが、学びが足りないことが原因で傷つくこともあったそうです。
「(職場で)『あなたは覚えが悪い』とか。『できないんだったら人の10倍も20倍も努力しなさい』とか(言われた)」
そんな中、夜間中学の開校を知り西村さんは「学び直す」決意をしました。
学校が始まるのは夕方ですが、西村さんはその前に地域の清掃や配達の仕事、町内会の活動などをこなしています。
自宅近くで育てる花の手入れも日課の一つ。
育てた花はほぼ毎日、学校に持って行くそうです。
西村さん
「私が一番心を病んだ時、一輪の花に助けてもらった。自分の人生の中で花がいつも支えてくれた。だからみんなもそう感じてもらえたらいいなと思って(学校に持っていっている)」
朝から大忙しの西村さん、それから片道2時間以上かけ学校に通っています。
バスや電車を乗り継ぎ、登下校も一苦労、かと思いきやその足取りは軽やか。
なんと、今のところ皆勤賞です。
Q.きょうは何が楽しみ??
「どんなことがあるんだろう、(学校の)みんなやクラスメイトに会えたり、やっぱり英語があるといいな」
その頃、学校では先生たちが授業の準備を進めていました。
県立いろは中学校 数学担当・秋元千賀子さん
「難易度や問題の数を変えて、『きょうはできた、わかった』と思ってもらえたらなと(授業の)準備をしている」
経験豊富な中堅やベテランの教職員が多く配置され、学び直しの場での教育を模索しています。
午後4時半ごろ、登校した西村さん。
この日、持ってきた花はアヤメです。
廊下の片隅に飾りました。
西村さん
「これが一番きれいなところかな…」
この日は西村さんが楽しみにしていた英語の授業もありました。
英語の授業
「seafood」
「reservation」
学ぶ喜びを噛みしめながら、真剣に授業に向き合います。
いろは中学校には様々な学校行事も。
生徒の親睦を深めるレクリエーションです。
あの頃は叶わなかった青春の時間。
いろは中学校での様々な学びが、生徒の生きがいにも繋がっているようです。
西村さん
「勉強できることがすごくありがたいし、世界が開けるし、『こういうことがあるんだ』と驚きもあるし、やっと、やっとそういうことに出会えた」
開校から1年、様々な事情を抱える生徒たちにあわせ、学校側も試行錯誤を続けてきました。
例えば2025年10月に導入した「AIドリル」。
間違えたところをAIが学習しオリジナルの復習問題を作る仕組みで、生徒がそれぞれの理解度に合わせて無理なく勉強を続けられます。
「生徒の居場所づくり」という点でも工夫を重ねました。
県立いろは中学校・加藤淳一校長
Q.ここはどういう部屋?
「去年11月に開設した『ほっとステーション』」
教室を改装した「ほっとステーション」は休憩や交流など、生徒たちが自由に利用できます。
加藤校長
「大勢の前にいると疲れたり、ストレスを感じる生徒もいるので、ここに来てホッとしてもらう。開校前はここまで想定していなかったが、生徒と一緒に生活していく中で、新たに気づかされたことも多い」
学び直しの場として軌道に乗り始めた2年目のいろは中学校。
2026年は12人の新入生が仲間入りしました。
県立いろは中学校 新入生代表・西心美さん
「様々な背景を抱えながら、それぞれに志を持ってここに集まっています。みんなで助け合いながら、一歩ずつ進んでいきましょう」
年齢も、国籍も、生い立ちも異なりますが、「学びたい」という思いはみんな同じです。
県立いろは中学校 新入生・坂野菫さん
「将来、白バイ(隊員)になりたくて。中学を卒業する頃には高卒認定の資格を取れるくらいまで勉強を頑張りたい」
県立いろは中学校 新入生・奥屋義隆さん
「どうにかこうにか勉強して、大学は無理かもしれないが、高校には行きたいと思っている」
生徒も、先生も、みんながお互いを理解し合いながら、模索を続けるいろは中学校。
それぞれの目標や、「学びたい」という思いが、きょうも夜の校舎に灯りをともしています。


















































































































