【検証】離岸流ではなく「干潮」か いちき串木野市3人死亡事故、専門家が現地調査で見解
2026年9月14日(月) 14:00

事故原因を探る調査の様子
鹿児島県いちき串木野市の海岸で中高生3人が死亡した事故から約2週間。専門家が現地に入り、事故原因を探る調査が行われた。その結果、浮かび上がったのは「離岸流」ではなく「干潮」という、海特有の危険の姿だった。
大潮の干潮にあわせた現地調査

事故現場に供えられた 多くの花束や飲み物
9月10日、いちき串木野市の事故現場を訪れたのは、大学教授などからなる学術団体・水難学会のメンバー5人だ。現場には事故直後よりもさらに多くの花束や飲み物が手向けられており、地域の人々の悲しみの深さが伝わってくるようだった。
調査は、事故が起きたときと同じ大潮の干潮の時間帯にあわせて実施された。中高生が飛び込んだとみられる岩場の先端あたりからダイバーが実際に海の中に入り、水深を測定。さらに、蛍光色の着色剤を海中にまいて潮の流れを丁寧に調べた。
離岸流ではなく、干潮による「出口のない状況」

現場周辺の岩場
調査の結果、着色剤が大きく潮で流されることはなかった。このことから、水難学会は「離岸流の影響は考えにくい」と判断した。
では、なぜ3人は溺れてしまったのか。水難学会の斎藤秀俊理事は、次のように語った。
「潮が引いて岩が登れないほど高いという露出の仕方をしていた。飛び込んだはいいけど、はい上がれる場所がない。そのうち溺れていってしまう」
事故当時、干潮の影響で海から陸地に上がるためには、高さ1メートル以上の岩場を登らなければならない状況だったという。飛び込んだ先に、戻る手段がなかった。そうした「出口のない状況」が、今回の悲劇を招いた可能性が高いとみられる。
「干潮の時刻に何が起こるか、もっと具体的な話を」

水難学会の斎藤秀俊 理事
今回の調査が浮き彫りにしたのは、海の危険性に対する教育の重要性だ。斎藤理事は、子どもたちへの教育のあり方についてこう訴えた。
「干潮の時刻っていったいどういうことが起こるのか、実際に岩場に行ったらどういうことになるか、もっと具体的な話をするべき。いざという時に自分を助ける訓練、海辺ならではの教育をぜひとも続けてほしい」
潮の満ち引きは、海に慣れていない人にとってはなかなか実感しにくい現象だ。しかし、それが命に直結する危険をはらんでいることを、今回の事故は改めて示している。
現場には看板と浮き輪を設置

現場近くには 水難事故の注意を促す看板と 浮き輪が設置された
調査に立ち会った串木野海上保安部は、現場近くに水難事故の注意を促す看板と浮き輪を設置した。串木野海上保安部の本多一成交通課長は「『海は危険なんだ』ってことをしっかりと認識してもらって、ライフジャケットを着用するなど十分に準備を行ってもらいたい」と話した。
海上保安部では、今回の調査結果も参考にしながら、今後も事故防止に取り組んでいくとしている。
夏の海は楽しい場所である一方、潮の状態ひとつで命の危険に変わる。いちき串木野市の海岸で起きた事故を教訓に、海辺での安全意識をあらためて高めることが、地域全体に求められている。

















































































































