人口2人・定期船ゼロの離島 「島に通う人を増やしたい」夫婦の願い 島再生の新イベントに密着【鹿児島】
2026年9月25日(金) 17:00

人口2人・定期船ゼロの離島「新島」
桜島の北東わずか1.5キロに浮かぶ小さな島、新島。周囲2.3キロのその島に、今は夫婦2人だけが暮らしている。2026年3月、島と本土を結んでいた行政連絡船が廃止された。「住もうと思ったのは、行政連絡船があったからこそ」と語る夫・直行さんの言葉が、島の現実を鋭く映し出す。アクセスが断たれた島で、それでも2人は前を向く。この夏、新島では新たなイベントが生まれた。
一時は無人島に――7年前、夫婦が島に戻った

新島に住む 佐々木和子さん(66)と 夫・直行さん(73)
鹿児島市の新島は、桜島の北東約1.5キロに位置する離島だ。周囲2.3キロという小さな島は、かつて一時無人島となっていた。その新島に2019年、夫婦2人が暮らし始めた。新島出身の佐々木和子さん(66)と、福岡出身の夫・直行さん(73)である。
和子さんは島に戻った当時こう語っていた。「すごく人間らしい生活ができていいのかもしれない。楽しみです。島に住むのが」。自然の中でのびやかに暮らす日々は、2人にとって充実したものだった。
島の管理はNPO法人を通じて続けられてきた。無人島だった時期に草木が生い茂った島を再生しようと、佐々木さん夫妻らが立ち上げたNPO法人「ふるさと再生プロジェクトの会」が、草刈りや清掃などの活動を担ってきた。
行政連絡船の廃止――生活の根幹が揺らいだ

海上タクシーの利用料金 行政連絡船の10倍を超える
そんな2人の暮らしを根底から揺るがす出来事が、2026年3月に起きた。週に3日、桜島の浦之前港と新島を往復していた鹿児島市の行政連絡船が廃止されたのだ。
原因は、2022年に北海道知床沖で発生した観光船沈没事故に伴う法改正にある。安全運航の体制確保が難しくなったことを受け、市は廃止の判断を下した。継続を求める1万5000人以上の署名が提出されたが、市の方針が覆ることはなかった。
廃止から5カ月が経った8月も、浦之前港には行政連絡船がそのまま停泊していた。直行さんは「行政連絡船があったからこそ僕たちは住もうと思った。基本の『き』の字がなくなった。非常に困っています」と語る。
現在、島へのアクセスの主な手段は海上タクシーだが、運賃は行政連絡船の10倍を超える。佐々木さん夫妻はもともと船を1隻所有しているが、廃止を受けて予備の船の購入も検討している。「私が今乗っている船に何か起きたときは、もう島から出ることができなくなってしまう」と直行さん。中古船の購入には100万円近くかかる見込みで、家計への負担も小さくない。
観光客にとっても影響は大きい。直行さんは「定期船だと気軽に乗れて遠慮しなくていいし、金額も安いので来やすかった。そういう方たちが来られなくなった」と嘆く。和子さんも「ここを活用できなくなっている」と言葉少なに語った。


















































































































