火星の衛星「フォボス」から砂を持ち帰る JAXAが10月20日に挑む"世界初ミッション"の全貌
2026年10月16日(金) 16:30

火星衛星探査機「MMX」
火星の衛星「フォボス」に着陸し、砂や岩石を採取して地球に持ち帰る――。成功すれば世界初の快挙となるミッションが、10月20日午前4時41分3秒、鹿児島・種子島から始まる。JAXAの火星衛星探査機「MMX」がH3ロケット10号機で打ち上げられるのだ。「挑戦と無謀は紙一重」とプロジェクトマネージャ自らが語るほどの難題に、技術者たちはいかに立ち向かってきたのか。
高さ5メートル、重さ4.5トン――「MMX」とはどんな探査機か

火星衛星探査機「MMX」には、サンプルを収めて地球に戻るための専用カプセルが搭載されている
2026年8月、報道陣に公開された火星衛星探査機「MMX」。高さ約5メートル、重さ約4.5トンという大型の探査機だ。その目的はシンプルでありながら、前例のない挑戦に満ちている。火星の衛星フォボスに着陸し、表面のサンプルを採取して2031年度に地球へ持ち帰る「サンプルリターン」に挑む。
探査機には、サンプルを収めて地球に戻ってくる専用のカプセルが搭載されている。そのカプセルが2031年度に帰還する予定だ。
このミッションを指揮するのは、JAXAの川勝康弘プロジェクトマネージャだ。「火星の衛星は遠くから撮影される機会はあったけど、それ自身を主対象とした計画は立ち上げられていなかった。やっと始まるのでワクワクして待っている」と語る川勝マネージャの言葉には、10年以上にわたる研究と開発への思いが凝縮されている。
なぜ火星ではなく「フォボス」なのか

火星の衛星「フォボス」
MMXが火星本体ではなく、その衛星フォボスを目指す理由のひとつが「重力」の問題だ。火星にはフォボスよりも強い重力があり、探査機が離脱する際には大きなエネルギーが必要になる。一方、フォボスの重力は火星の数百分の1程度にすぎない。より少ないエネルギーで離脱できることが、サンプルリターンの実現可能性を大きく高めている。
フォボスは直径わずか20キロほどの小さな天体で、火星から約6000キロという近距離を周回している。地球と月の距離が約38万キロであることを考えると、いかに近いかがわかる。この距離の近さが、科学的にも重要な意味を持つ。火星に隕石が落下した際に巻き上げられた物質が、フォボスの表面にも降り積もっていると考えられているからだ。
















































































































