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2020年12月22日、
師走の京都・都大路を駆け抜ける、全国高校駅伝が開催され、
私は現地に取材に行きました。
県代表は、
男子が2年ぶり50回目の出場の鹿児島実業、
女子が4年連続26回目の出場の神村学園でした。
21.0975kmを5人がタスキでつなぐ、女子のレース。
去年優勝した神村学園は、
優勝メンバー3人を含む、オール2年生で挑みました。
惜しくも、女子史上4校目の連覇とはなりませんでしたが、
去年の神村学園の優勝タイムを6秒上回る、1時間7分19秒をマークしての準優勝でした。(優勝の宮城・仙台育英は1時間7分00秒)
各選手について取材をして感じたことを書きます。
・1区(6km) 木之下沙椰選手(2年)
去年は4区(3km)を走り初優勝に貢献した木之下選手。
今年はエース区間の1区を任されました。
大会前に行ったコースの試走(歩道を走る)では、雰囲気をつかんでいたものの、本番では全く違ったと言います。
集団の中で、なかなか自分のペースで走れない中、試走で感じた以上に車道の上り坂がきつく感じたそうです。
1区のコースの難しさを改めて感じたと話しました。
それでも、自分が出せる全ての力を振り絞って走ったと、木之下選手。
レース後、大粒の涙が止まりませんでした。
チームのみんなに「ごめんね、ごめんね」と言い続けていました。
自分が大ブレーキをしたせいで、他のメンバーが自分のレースができなかったと、責任を感じて泣いていた木之下選手ですが、
「来年は絶対に1区でリベンジをして、今度こそチームに貢献する走りをしたい」と、まっすぐに私を見て話してくれました。
木之下選手はこの悔しさをバネに、来年どんな走りを見せてくれるのでしょうか。
・2区(4.0975km) バイレ・シンシア選手(2年)
14位でタスキをもらったシンシア選手は、13人抜きでトップに立つ快走を見せました。(区間2位)
大会前日は、「区間賞をとって、優勝をしたい」と話していたシンシア選手、
レース後、涙を流しながら「悔しいです…」と絞り出すような声で話してくれました。
そして、「来年は優勝をして、もう一回一番になります」と、決意も語ってくれました。
チームの大黒柱のシンシア選手。
シンシア選手とともに練習することで、他の選手も自信をつけ、チームの底上げにもつながっています。
シンシア選手のさらなるレベルアップに期待したいと思います。
・3区(3km) 黒川円佳選手(2年)
去年は1年生ながら、3区で区間6位の成績を残した黒川選手は、二年連続の3区でした。
トップでタスキをもらい、惜しくも中継所手前で仙台育英にかわされ、2位でのタスキリレーとなりましたが、
区間3位の好タイムでした。
今年は去年と違い、シンシア選手と練習で一緒に走ったことなどで自信もつき、満を持して挑んだ駅伝でしたが、
「チームのために貯金を作る走りができなかった」と、涙で目をぬらしていました。
普段はとても明るく、インタビューにも笑顔ではきはきと答えてくれる黒川選手。
来年は、レース後、笑顔の黒川選手にインタビューできることを楽しみにしています。
・4区(3km) 鳥居華選手(2年)
去年はサポート役、そして今年、憧れの都大路の舞台に初めて立った鳥居選手。
初めてながら、4区で区間2位(区間1位の選手と2秒差)の成績を残しました。
しかし、区間1位の選手が自分よりも年下の1年生の選手(仙台育英)だったことに触れ、悔しさをにじませていました。
トップと3秒差でタスキを受けた鳥居選手、その強い闘志で、アンカーにトップと5秒差でタスキリレーしました。
「絶対にトップと離されないぞ」、その強い気持ちが走りから伝わってきました。
鳥居選手が教えてくれたのですが、大切なレースの前には前髪をハチマキの中に全部しまいこんで、気合いを入れるそうです。
今回のレースもいつもの“華スタイル”で挑んでいました。
「来年は絶対優勝する」と力強く話してくれた鳥居選手の言葉、信じたいと思います。
・5区(5km) 中須瑠菜キャプテン(2年)
前回大会優勝と言うことで、全国からも追われる存在となった神村学園。
中須選手は2年生ながら、そのチームのキャプテンを任されました。
去年は2区を走り優勝に貢献した中須選手は、
今年はキャプテンとして、大会の開会式での選手宣誓と、駅伝のアンカーと言う二つの大役を任されました。
就任31年目の有川哲蔵監督も、「今回の大会は中須で始まり、中須で終わる大会にしたい」と、
キャプテンに絶大な信頼を寄せていました。
2位でタスキをもらった、中須選手、懸命に仙台育英の選手を追いましたが、最後までその背中に追いつけませんでした。
フィニッシュした瞬間から涙が止まらなかった中須選手。
レース後に話を聞くと、
「最後はアンカー勝負になることは分かっていたし、4区の鳥居選手からタスキを渡された時に背中も押されて、
そこから前に走った4人の気持ちが伝わってきた。でも、走っている途中に、この差はもう縮まらないんじゃないかと、
不安になってしまい、その弱い心が勝てなかった要因だと思います。来年は、今回見ていた背中を見ずに、必ず優勝します」
と、力強く話してくれました。
キャプテンになり、チームメイトに厳しく接しないといけないことも増え、
「自分は嫌われてもいいから、チームのために声をかけられるキャプテンになろう」と努めてきました。
それでも感情が抑えきれず涙を流したこともあったそうです。
それでも、「自分が未熟だからこそ、周りのメンバーが一つになって自分を助けてくれている」と、話していました。
その言葉から、チームの絆を感じました。
泣きながらインタビューに答えてくれる選手の姿を見て、
悔しさと同時に、もう二度と同じ相手には負けない、と言う強い決意を感じました。
来年はどんな物語が待っているのでしょうか。