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ニュース・スポーツ

『紫電改』81年ぶり引き上げ「林喜重大尉の機体がよみがえった」 鹿児島のNPOが海底から回収

2026年4月9日(木) 11:40

紫電改 引き上げ成功 81年ぶりに姿を現す

太平洋戦争末期、鹿児島県阿久根市の沖合に不時着水し、そのまま海底に沈み続けていた日本海軍の戦闘機・紫電改が、2026年4月8日、ついに81年ぶりにその姿を現した。引き上げ作業を実施したのは、鹿児島県出水市の住民らで構成されるNPO法人。クラウドファンディングなどで資金を集め、地域の力で戦争遺産を後世へとつなごうとする試みが、一つの大きな結実を迎えた。

林喜重大尉の最後の出撃

林喜重大尉最後の出撃機、阿久根沖から救出され保存へ

この紫電改を操縦していたのは、神奈川県出身の林喜重大尉だ。昭和20年4月21日、林大尉は現在の鹿児島県霧島市福山町にある基地から部下とともに出撃。本土空襲のために飛来したB29の編隊を発見し、激しい対空砲火を浴びながらも攻撃を仕掛けた。

しかし、林大尉の紫電改も被弾。阿久根市の脇本海岸沖への不時着水を試みたが、顔面を計器盤に強く打ち、そのまま命を落とした。81年もの長い歳月、機体は脇本海岸の沖合約200メートルの地点に、静かに沈み続けていた。

浅い海底での難作業、一時は中断も

干潮1mの浅瀬で起きたトラブルと復旧

引き上げ作業は、干潮時の水深が約1メートルという浅い海底での作業となった。クレーンを搭載した台船を用いるため、作業開始は満潮時刻となる午前10時すぎまで待つ必要があった。

作業開始から約1時間後、まず2枚のプロペラが引き上げられた。ところが、機体内に残っていた砂の重みによって釣り上げ重量が想定を大きく超え、機体を支えるパイプが折れ曲がるトラブルが発生。作業はいったん中断を余儀なくされた。

その後、補強用のパイプが追加されて作業が再開。作業開始からおよそ4時間後、紫電改はついに海中からその姿を現した。

「紫電改の本来の強い姿がそのまま残っている」

浅瀬での難作業を乗り越え姿を現す

引き上げられた機体は、胴体部分がほぼなくなっていた。しかし、エンジンと翼は原形をとどめており、81年の歳月を経た機体とは思えない存在感を放っていたという。

この引き上げを主導した「北薩の戦争遺産を後世に遺す会」の肥本英輔代表は、こう語った。

「全体的に紫電改の本来の強い姿がそのまま残っている。(林大尉に)『あなたの機体を多くの人に見てもらう機会をいただけました』と言いたい」

戦地に散った操縦士への敬意と、地域の歴史を守り伝えようとする思いが、その言葉に凝縮されていた。

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