KTS防災プロジェクト企画。
9月1日は、「防災の日」です。
自然災害やそれへの備えについて、改めて考える日です。
そこで、最近よく耳にするようになった
「線状降水帯」をやさしく解説しました。
また、専門家のアドバイスをもとに、家族の命を守るための「備え」について、お伝えしました。
先月3日から4日にかけて、東北地方や北陸地方などで大雨となりました。
特に、新潟県と山形県では複数の“線状降水帯”が発生。
川が氾濫するなどして、大きな被害が出ました。
線状降水帯
そもそも“線状降水帯”とは、発達した雨雲が直線状に並んだものを指します。
湿った空気が山などにあたり上昇すると、雲が作られます。
その雲が風に流されて直線状に連なり、“強い降水”が“ほぼ同じ場所”で“数時間にわたって”降り続く、これが線状降水帯です。
気象庁は、この「線状降水帯の発生予測」を、今年6月から始めました。
「線状降水帯の発生予測」が最初に出されたのが、今年7月15日の九州北部と九州南部で、鹿児島県も含まれていました。
このときは、実際に線状降水帯は発生しませんでしたが、県内でも局地的に大雨となりました。
もっと詳しく知るために、
防災に詳しい、鹿児島大学の
【8・6水害も”線状降水帯”だった?】
(鹿児島大学・井村隆介准教授)
当時きちんと観測できれば、鹿児島で1993年に起こった8・6水害も、多分”線状降水帯”だった。
(鹿児島大学・井村隆介准教授)
同じ所で雨が降り続く”線状降水帯”は、昔からあった。
長時間雨雲の帯がかかり続けるのを、いまは”線状降水帯”と呼ぶ。
【線状降水帯発生予測が出たら、どういう行動をとったらいい?】
(鹿児島大学・井村隆介准教授)
予測と言っても、4回に3回は外れる。
雨が降りやすい状況にあると、自分の中で気持ちを一段上げておくことが大事。
(鹿児島大学・井村隆介准教授)
「起こるかもしれない」と、考えてもらわなければいけない情報です。
【線状降水帯発生予測発表、避難のタイミングは?】
(鹿児島大学・井村隆介准教授)
半日前や「北部九州」「南部九州」のように、広いくくりで出される。
だから、予測が出た時点で逃げるのはほとんど実用的でない。
(鹿児島大学・井村隆介准教授)
ただ、身構えていただき、雨が強くなって自治体から避難情報が出たら、すぐに動けるようにしておいてください。
(鹿児島大学・井村隆介准教授)
子どもと一緒に避難する際は、大人が子供の命を守る行動を取ることが必要。
子どもに合わせた避難のタイミングで。
(鹿児島大学・井村隆介准教授)
早め早めの、余裕をもった行動を。
乳幼児がいる家庭での備え
続いては、「乳幼児がいる家庭での備え」についてです。
教えてくれたのは、福岡県在住の防災士・
渡邉さん自身、3人のお子さんを子育て中のママです。
茨城県に住んでいるときに、東日本大震災で被災した渡邉さん。
当時生後11ヵ月のお子さんを守りながら、日々を生き抜いた経験などをもとに、乳幼児がいる家庭向けの防災講座を開いています。
「備えの手順」を教えていただきました。
【備えの手順①災害を知る】
自然災害の恐ろしさや、避難情報を正しく理解しよう
【備えの手順②自分を知る】
地域のリスク、自分が住む場所のリスクを知りましょう
自分は、
自宅で避難生活を送る「在宅避難」をするのか、
避難所に行くのか、
知人や親戚の家に避難するのか、
事前に考えましょう。
まずは各自治体から各家庭に配られている「ハザードマップ」で地形のリスクを確認しましょう。
どこに川があるか、浸水する可能性はあるのかなど、確認しておきましょう。
【備えの手順③備えをする】
渡邉さんが、実際に被災生活の中で役立った物を教えてくれました。
・食べ慣れているベビーフード(食べ慣れていないと、アレルギーの心配も。家には食べ慣れているものを多めに買って、備蓄しておく)
・加熱するもの(カセットコンロなど)
⇒ミルクを温めたり、暖かいご飯を食べられる(東日本大震災が起きたのは冬で、こどもが冷たい食べ物を食べなかった/気持ち的に落ち着く)
・ヘッドライト
⇒両手が自由になるので、料理や子どものおむつ交換も出来る
・ケミカルライト(光る腕輪・棒など)
⇒停電した際、子どもがどこにいるか暗闇でも分かる/少し恐怖心が和らいで、子どもの気持ちが落ち着いた
・災害用トイレ 1週間分(家族の人数分を用意)
⇒配布されず、仮設トイレの設置も遅かった
(渡邉さん)
一人一人必要な物が違うので、自分用に「カスタマイズ」してくださいね。
大きな災害が発生すると、よく“想定外”という言葉が使われます。
しかし、想定をして準備をしていれば、“想定外”にはなりません。
日ごろの備えを忘れずに。