8月30日(水)快音ふたたび!鹿児島のイチローの挑戦
「鹿児島のイチロー」と呼ばれる、一人の男性を取材しました。
一人暮らしの小さな部屋は、バットなど野球の道具があふれています。
小柄な満山さん。
見かけによらない、意外な一面があるんです。
持病の改善のために、61歳から始めた、バッティングセンター通い。
その楽しさにのめりこんで以来、バッティングセンターで9年連続の本塁打王や、1日に262本のホームランを打つなど、数々の記録を打ち立てました。
テレビや新聞でも取り上げられ、「鹿児島のイチロー」と呼ばれるようになりました。
しかし、3年前。
(満山さん)
調べたら悪性のがんだ。ステージ4だと。
場所もいっぱいある。肺も怪しい。
見つかったのは、前立腺がん。
進行し、肺にも転移していました。
(満山さん)
生まれて初めて、人前で泣いてしまった。
悔しいやら、残念やら、絶望してな。
一度は、病気と向き合うことから逃げました。
(満山さん)
怖いんです。だから逃げました。死んでもいいから、病院には行かんと。
そんな時に、色んな人が来て、「生きて、もういっぺん対戦してくれ」と励ましてくれました。
(満山さん)
私は記録保持者なんです。
若い人が挑戦してきたら、受けて立たないといけない。
若者の挑戦を受けるため。
治療を決断しました。
がんの治療は厳しく、自慢だった筋肉がみるみる細くなりました。
それでも、諦めません。
痛みで眠れない夜は、自作した器具で筋トレです。
病室でも、毎日バットを振り続けました。
2年以上にわたる治療を終えて、今年3月、バッティングセンターに復帰しました。
家でも、日々トレーニングに励んでいます。
(満山さん)
若い人に、がむしゃらになってほしい。
その思いを伝えようと、ホームラン大会に出ることを決意しました。
いつも通っている、バッティングセンターにやってきた満山さん。
退院してから、初めての大会出場です。
がんを乗り越えて、ホームランを打つ。
満山さんの挑戦です。
そんな彼のことを、仲間が待っていました。
「アドバイスが的を射ていて、スパーンと打てるようになることがある。」
「すごい人だなって、挑戦する姿が。元気をもらうっていうか、負けられないって気持ちになる。」
ルールは、1ゲーム25球で、大会中に何本のホームランを打てるかを競います。
ホームランまでの距離は、およそ37メートルです。
満山さんが打席に立ちます。
久しぶりの大会。
なかなか、打球が前に飛びません。
それでも諦めない。
満山さんは、バットに思いを込めます。
「若い人に、がむしゃらになってほしい」
「自分のように努力したら、結果を出せる」
そして迎えた15球目。
打球は見事、枠の中へ。
満山さん、復活のホームランです。
笑顔がこぼれます。
(満山さん)
一番いいのが行った。これを見せたかった。
なんと高校生たちが、満山さんに挑んできました。
1打席、25球勝負です。
挑戦者の高校生、ホームランは打てませんでした。
一方、満山さんは、2本のホームラン。
貫禄を見せつけました。
(高校生)
間近で見たら、本当にすごかった。
(高校生)
僕の越えるべき壁です。
いつか越えたいです。
もっと打てるようになって。
(満山さん)
高校球児が見に来て、手本を見せられたのが一番の喜び。
ホームランに人生をかけてがむしゃらに挑戦する、満山一朗さん、84歳。
きょうもフルスイングです。