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8月30日(水)快音ふたたび!鹿児島のイチローの挑戦

「鹿児島のイチロー」と呼ばれる、一人の男性を取材しました。

満山一朗 みつやま・いちろう さん、84歳です。

一人暮らしの小さな部屋は、バットなど野球の道具があふれています。

小柄な満山さん。
見かけによらない、意外な一面があるんです。

持病の改善のために、61歳から始めた、バッティングセンター通い。

その楽しさにのめりこんで以来、バッティングセンターで9年連続の本塁打王や、1日に262本のホームランを打つなど、数々の記録を打ち立てました。

テレビや新聞でも取り上げられ、「鹿児島のイチロー」と呼ばれるようになりました。

しかし、3年前。

(満山さん)
調べたら悪性のがんだ。ステージ4だと。
場所もいっぱいある。肺も怪しい。
 

見つかったのは、前立腺がん。
進行し、肺にも転移していました。

(満山さん)
生まれて初めて、人前で泣いてしまった。
悔しいやら、残念やら、絶望してな。

一度は、病気と向き合うことから逃げました。

(満山さん)
怖いんです。だから逃げました。死んでもいいから、病院には行かんと。

 

そんな時に、色んな人が来て、「生きて、もういっぺん対戦してくれ」と励ましてくれました。

(満山さん)
私は記録保持者なんです。
若い人が挑戦してきたら、受けて立たないといけない。

若者の挑戦を受けるため。
治療を決断しました。

がんの治療は厳しく、自慢だった筋肉がみるみる細くなりました。

それでも、諦めません。
痛みで眠れない夜は、自作した器具で筋トレです。
 

病室でも、毎日バットを振り続けました。

2年以上にわたる治療を終えて、今年3月、バッティングセンターに復帰しました。

家でも、日々トレーニングに励んでいます。

(満山さん)
若い人に、がむしゃらになってほしい。

その思いを伝えようと、ホームラン大会に出ることを決意しました。
 

いつも通っている、バッティングセンターにやってきた満山さん。
退院してから、初めての大会出場です。

がんを乗り越えて、ホームランを打つ。
満山さんの挑戦です。

そんな彼のことを、仲間が待っていました。

「アドバイスが的を射ていて、スパーンと打てるようになることがある。」
 

「すごい人だなって、挑戦する姿が。元気をもらうっていうか、負けられないって気持ちになる。」

ルールは、1ゲーム25球で、大会中に何本のホームランを打てるかを競います。
 

ホームランまでの距離は、およそ37メートルです。

満山さんが打席に立ちます。
 

久しぶりの大会。
なかなか、打球が前に飛びません。
それでも諦めない。

満山さんは、バットに思いを込めます。
「若い人に、がむしゃらになってほしい」
「自分のように努力したら、結果を出せる」

そして迎えた15球目。
 

打球は見事、枠の中へ。
満山さん、復活のホームランです。

笑顔がこぼれます。

(満山さん)
一番いいのが行った。これを見せたかった。

 

なんと高校生たちが、満山さんに挑んできました。
 

1打席、25球勝負です。

挑戦者の高校生、ホームランは打てませんでした。

一方、満山さんは、2本のホームラン。
 

貫禄を見せつけました。

(高校生)
間近で見たら、本当にすごかった。
 

(高校生)
僕の越えるべき壁です。
いつか越えたいです。
もっと打てるようになって。

(満山さん)
高校球児が見に来て、手本を見せられたのが一番の喜び。

ホームランに人生をかけてがむしゃらに挑戦する、満山一朗さん、84歳。
きょうもフルスイングです。